2007.4.22  『赤い天使』


赤、赤、赤、赤、あか、あか、あか、アカ、アカ、アカ、

地面が、壁が、草木が、水が、空が、君が、

真っ赤に濡れて 真っ赤に染まって 真っ赤に変わって

もう何も、何も、何も、何も、何も、  見えやしない。



夜も更けて、星たちが美しく鮮明に瞬く頃。
一人の男が荒い息を繰り返しながら、ソファーの上でもがいていた。
何か怖い夢・・・または悪い夢でも見ているのであろう。その顔は悲痛に歪んでいた。
魘されている男は黒い髪に整った顔。アッシュフォード学園の生徒の一人でありながら、≪黒の騎士団≫と呼ばれる改革団の頂点に立つ人間。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだった。

「・・・・・・っ!!」
ガバリとソファーの上から起き上がったルルーシュは、辺りを見回す。
いつもと変わらない風景がルルーシュの周りにあった。 すぐ傍のベッドでは幸せそうに眠っているC.C.
「・・・夢、か」
荒々しい呼吸のまま消え入りそうな声で呟く。
先ほどまで見ていた悪夢がどれ程辛かったのかが分かるほど、ルルーシュの呼吸は乱れて額には汗を浮かべている。
ソファーの上から降りて、窓の方へ向かう。 星達はあの日の事など気にしていないかのようにキラキラと瞬く。

あの、血塗れの世界。 苦しむ人々。 壊れ行く全て。 残酷な天使。 狂ってしまった皇女。

「・・・全てはこの暴走し始めたギアスの力・・・・・・」
あの時、あの場所で、彼女を見なければ良かった。 いや、あんな事を言わなければ良かった。
彼女はギアスに抵抗した。必死に、必死に、必死に、抵抗してギアスの力を破ろうとした。
だけど、だけど、だけど、彼女は負けてしまった。あんなに≪イレヴン≫(日本人)の事を思っていたのに。
そして、美しい天使は血染めの天使へと成り代わった。 笑顔を浮かべて、見ているだけで恐ろしくなる笑顔を浮かべて殺戮を繰り返した。
「その天使(ユフィ)を俺が打った。 昔好きだった彼女を」
彼女を打った時に使った手を握り締めて呟く。 血に染まってしまった掌。 今は洗い流して見えないけれど、奥の奥の奥にこびりついてしまった人間の血。
一体どれ程の人間の血を浴びてきたのだろう。 一体どれ程の人間を殺してきたのだろう。
消せない罪。 背負ってしまった真っ赤な十字架。 もう戻れない線路に乗った。 ≪白≫には戻れない。
それでも――  それでも――


「俺は、ナナリーの為に。死んでしまった人間の為に。 突き進まなければいけないんだ」


その先に、地獄が待っていようとも。 大鎌(デスサイズ)を持った死神(デス)が待っていようとも。
この決心は揺るがない。  この決心は揺るがすことはできない。


親類を巻き添えにしても・・・進むしかできないのだから。


最後の最後まで  有難う。


ギアスSS第一作目。 滅茶苦茶短いですし、構成まとまっていません。
設定はユフィを撃った後のお話・・・になっていると思います。
最後まで読んでくださったあなたに最高級の感謝を。 ダァイスキ。  
                               時宮 翡翠

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